血小板凝集能低下を示した遺伝性出血性末しょう血管拡張症(Osler病)の一家系

書誌事項

タイトル別名
  • HEREDITARY HEMORRHAGIC TELANGIECTASIA (OSLER'S DISEASE) -A FAMILY WITH DECREASED PLATELET AGGREGATION-
  • ケッショウバン ギョウシュウノウ テイカ オ シメシタ イデンセイ シュッケツ

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抄録

遺伝性出血性末梢血管拡張症(Osler病)は,従来から先天性血管障害性出血性疾患と考えられて来た.しかし近年血小板粘着能,血小板凝集能低下を伴つた本症例が報告され,本症の血小板機能が注目されている.我々は幼少時から頻回の鼻出血を繰り返し,ロ腔内,手指に毛細血管拡張を認め,常染色体優性遺伝が考えられるOsler病の母・娘例で血小板機能検査を行なつた.両者ともDuke法による出血時間,血小板粘着能,血餅収縮能,血漿第VIII因子活性は正常であつた.しかし両者ともIvy法による出血時間の延長,娘例ではADP凝集の軽度低下,母親例はADP,アドレナリン,コラーゲン凝集の低下を認めた.また従来報告のないリストセチン凝集は共に異常なかつた.これらの事実は, Osler病の易出血性に血小板凝集能低下が関与している可能性を示唆している.一方従来からOsler病とvon Willebrand病は,先天性血管障害性出血疾患の中で異同が問題とされて来た.しかし我々の症例でDuke法による出血時間,血小板粘着能,血漿第VIII因子活性,リストセチン凝集が正常であつたことは,両者の病態の差異を明らかにする上で意義が大きい所見と考えられる.

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