SIADH(ADH異常分泌症候群)を呈した上いん頭肉しゅの1例

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  • A CASE OF EPIPHARYNGEAL SARCOMA ASSOCIATED WITH THE SYNDROME OF INAPPROPRIATE SECRETION OF ANTIDIURETIC HORMONE (SIADH)
  • SIADH syndrome of inappropriate secreti

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抄録

52才,男性.主訴は弛張熱,咽頭痛および低ナトリウム血症.無欲様顔貌でうつ状.軟口蓋の潰瘍と上咽頭の腫瘤を認めた.右側頚部リンパ節を数個触知.脱水症状および浮腫はなかつた.血清ナトリウム118mEq/1,血漿浸透圧246mOsm/l,尿中ナトリウム排泄量150~250mEq/日(ナトリウム摂取量約260mEq/日),血漿レニン活性0.4ng/ml/h,血漿アルドステロン含量7.2ng/d1,尿中17-OHCS排泄量11.5mg/日,尿中17-KS排泄量4.8mg/日, Ccr 123m1/分,血漿ADH含量13.6pg/ml,血漿オキシトシン含量22.2pg/ml,水負荷試験(1000ml)によつて血漿ADH含量は11.8pg/mlより4時間後に26.9pg/mlに上昇し, 4時間尿量は360mlであつた.上咽頭とリンパ節生検により上咽頭肉腫と診断した. 14病日より水分摂取量を1500ml/日(ナトリウム含量190mEq/日)としたところ,血清ナトリウムは126~130mEq/l・血漿浸透圧は260~280mOsm/lに上昇した.放射線療法によつて腫瘤陰影は縮小したが,出血を繰り返したため照射を中止したところ, 59病日に死亡した.剖検では,腫瘍は上咽頭から軟口蓋にかけて浸潤し,口蓋扁桃リンパ節および右側頚部リンパ節に転移を認めた.電顕所見上,分泌顆粒様構造を認めた.原発巣のADH含量5.7pg/mg・オキシトシン含量2.19pg/mg,口蓋扁桃リンパ節転移巣のADH含量24.8pg/mg・オキシトシン含量4.0pg/mg.本症例では上咽頭肉腫によりADHとオキシトシンが産生され, ADH過剰症状を来したものと結論した.

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