特発性心筋症における収縮期および拡張期動態についての検討

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  • SYSTOLIC AND DIASTOLIC HEMODYNAMIC STUDY OF IDIOPATHIC CARDIOMYOPATHY
  • トクハツセイ シンキンショウ ニ オケル シュウシュクキ オヨビ カクチョウキ

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抄録

非閉塞性肥大型心筋症(HCM) 23例,およびうつ血型心筋症(CCM) 25例を対象として,これらの収縮期動態,ならびに弛緩・拡張期動態の特異性について検討した.左心収縮動態の非観血的評価では, HCMの左心収縮性,およびポンプ機能は,正常か,ときにhyperkinetic circulationの状態が生じると思われたが, CCMでは,左心収縮性の低下を背景にして,ポンプ機能は正常か,ときに低下状態が示された.肺動脈圧曲線から求めた右心収縮時相では, HCM,およびCCMの両群でRV・ET/PEPが減少する傾向が示され,その変化は,とくにCCMで著明であつた. LV・ET/PEPとRV・ET/PEPの関係では, HCMで相関が示されたが, CCMでは相関が認められなかつた.弛緩・拡張期動態については,等容性弛緩期,拡張早期,および拡張終期動態に分けて検討した.等容性弛緩期の動態は, time constant (T)と等容性弛緩期時間(IRT)について検討した. peak negative dp/dtが現われた時点以降の等容性弛緩期における圧曲線は, bi-exponential curveを示す症例が多く,その場合, Tを, T1およびT2の二つに分けた. HCMでは, TとIRTの延長が示された.一方, CCMでは, Tの延長が示されたが, IRTは正常であつた. HCMでは,肥大した心室中隔壁厚とT,またはIRTとの間に正相関(r=0.88, 0.78)が認められ,かつTとIRTの間にも正相関(r=0.64)が示された.一方, CCMでは,拡大した左室収縮末期径とTとの間に正相関(r=0.75)が示されたが, IRTとの間には負相関(r=-0.84)が示された.また, TとIRTの間にも負相関(r=-0.89)が示された.両群において,いずれも平均左室後壁拡張速度は減少していたが,拡張早期動態は, CCMが異常化し,心エコー図上,左室後壁振幅の減少が示された.拡張終期動態では, HCM,およびCCMの両群で前負荷が増加しているが, HCMでは,左室後壁総振幅の増しが生じ,一方, CCMでは,左室後壁総振幅の著明な減少が示された.なお,これらの弛緩・拡張期動態にかんして,心エコー図,および心尖拍動図よりえられた非観血的情報と対比し,それらの応用性についても考察した.

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