本態性高血圧における交感神経活性の意義 特に中枢性交感神経抑制薬による血しょうノルエピネフリン濃度および循環諸量に対する影響

書誌事項

タイトル別名
  • A SIGNIFICANCE OF SYMPATHETIC NERVE ACTIVITY IN THE PATHOGENESIS OF ESSENTIAL HYPERTENSION
  • ホンタイセイ コウケツアツ ニ オケル コウカン シンケイ カッセイ ノ イギ
  • 特に中枢性交感神経抑制薬による血漿ノルエピネフリン濃度および循環諸量に対する影響

この論文をさがす

抄録

本態性高血圧例を対象として中極性交感神経抑制薬投与下における循環諸量ならびに血漿ノルエピネフリン(NE)濃度の変動様式について検討を加え,本症における神経性因子の病態生理学的意義について考察した.対象は良性本態性高血圧34例と正常対照10例で, clonidine (CL) 150μg経口投与前後における血漿NE濃度,血圧,心拍数,心拍出量を測定した.結果: 1)CL投与前の血漿NE濃度は,正常対照に比し高血圧群で高値傾向を示した. 2)CL投与により,高血圧群の74%の症例で有意の降圧反応を認めた.心係数は高血圧群の67%の症例で低下を示したが,降圧反応度は心係数の変化と相関せず,末梢血管抵抗の変化と有意の相関を示した. 3)CL投与による血漿NE濃度の低下度は,投与前値と有意の相関を示し,その低下率は正常対照および高血圧群で有意の差を示さなかつた. 4)血漿NE濃度の低下度は,平均血圧ならびに末梢血管抵抗の変化度とそれぞれ有意の相関を示した. 5)高血圧群では血漿NE濃度の一定低下度に対する降圧反応性の亢進が認められた.以上の知見は,本態性高血圧における血圧の維持に対して,中枢を介する交感神経機能が重要な役割を担うことを示唆している.同時に本症では交感神経活性の変動に対する心血管反応性の亢進も認められ,本症の成因に対する神経性因子の意義については両面からの評価が必要と考えられた.

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ