子宮体癌の横隔膜再発に対して腹腔鏡下摘出術を施行した1症例

書誌事項

タイトル別名
  • Laparoscopic management of a diaphragmatic tumor due to endometrial cancer recurrence: a case report
  • 症例報告 子宮体癌の横隔膜再発に対して腹腔鏡下摘出術を施行した1症例
  • ショウレイ ホウコク シキュウタイガン ノ オウカクマク サイハツ ニ タイシテ フククウキョウ カ テキシュツジュツ オ シコウ シタ 1 ショウレイ

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抄録

子宮体癌の再発腫瘍に対する摘出手術の適応や意義について定まったものはないが,再発腫瘍を完全に切除した際の生存率の改善を報告する文献が散見されるようになってきた.横隔膜は子宮体癌の転移部位としてまれであるが,その病巣摘出は,開腹手術では切開創が大きく,侵襲が大きい.今回われわれは,子宮体癌の横隔膜再発に対して低侵襲な全腹腔鏡下摘出術を施行した1症例を経験したので報告する.症例は,59歳,0妊0産.子宮体癌にて腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,骨盤リンパ節郭清術を行い,術後の病理組織検査結果は類内膜腺癌のGrade1であった.脈管侵襲を認めたがリンパ節転移を認めなかった.腹水細胞診陽性であり,FIGO(1988)stageIIIaの子宮体癌と診断した(pT3aN0M0).術後に補助化学療法を行い,4年経過した後,フォローアップCTにて右横隔膜,肝臓のS8領域の表面に径16mmの占拠性病変を認めた.FDG-PET/CTでも集積を認め,子宮体癌の再発を疑わせる所見であった.画像上,他の再発を疑う部位を認めなかった.孤立性の腫瘍であったため腹腔鏡下に再発腫瘍を摘出する目的にて当科入院となった.手術は全腹腔鏡下で行い,横隔膜の表面に2cm程の腫瘍を認めこれを全層切除にて摘出した.手術時間は156分であり出血量は少量であった.術後7日目に合併症もなく退院となった.術後の病理組織検査結果は子宮体癌の横隔膜転移の診断であった.術後に補助化学療法を行い,現在まで2年間が経過したが再発徴候を認めていない.子宮体癌における弧立性の横隔膜の再発に対して腹腔鏡下手術は低侵襲で有効な診断,治療手技となりうる.〔産婦の進歩63(3):295-300,2011(平成23年8月)〕

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