出生児に貧血および血小板減少を認めた間葉性異形成胎盤の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of PMD complicated with anemia and thrombocytopenia of the fetus
  • 症例報告 出生児に貧血および血小板減少を認めた間葉性異形成胎盤の1例
  • ショウレイ ホウコク シュッショウジ ニ ヒンケツ オヨビ ケッショウバン ゲンショウ オ ミトメタ カン ヨウセイイケイセイ タイバン ノ 1レイ

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抄録

間葉性異形成胎盤(placental mesenchymal dysplasia; PMD)は異常に大型化した胎盤を特徴とするまれな疾患であり,娩出後に胎盤の組織所見により診断される.しばしば子宮内胎児発育遅延(intrauterine growth restriction; IUGR)やBeckwith-Wiedemann症候群(BWS)を合併する.一方,胎児に貧血や血小板減少を認めることはまれである.今回,出生児に貧血および血小板減少を認めたPMDの1例を経験したので報告する.症例は32歳,2経産婦.妊娠初期より胎盤に嚢胞病変を認めた.胎児と羊水には異常はみられなかった.胎盤は内子宮口近くに位置していたが,妊娠経過とともにその大きさは急速に増大し,妊娠28週より切迫早産徴候が出現した.妊娠33週より胎児の発育停止が疑われたため,妊娠35週0日に精査加療目的に当科を紹介され同日入院となった.入院後の超音波検査でIUGRを認めた.経過中に胎児貧血によると思われる胎児頻脈と中大脳動脈収縮期最高血流速度の増大(>1.55MoM)がみられたため,妊娠35週2日に緊急帝王切開を行った.胎盤は4000gで,その組織学的所見よりPMDと診断された.児は体重1980g(-1.2SD)で,中等度貧血(Hb 7.8g/dl)および血小板減少(8.9万/μl)を認めた.組織検査では胎盤内に多発性血栓形成がみられ,胎児貧血および血小板減少の原因と考えられた.明らかな外表奇形はなく,BWSの合併は否定的であった.〔産婦の進歩63(3):313-318,2011(平成23年8月)〕

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