胎児型奇形腫

  • 林 美佳
    国立病院機構大阪南医療センター産婦人科
  • 神田 隆善
    国立病院機構大阪南医療センター産婦人科
  • 佐藤 直美
    国立病院機構大阪南医療センター産婦人科
  • 岩井 恵美
    国立病院機構大阪南医療センター産婦人科
  • 棟方 哲
    国立病院機構大阪南医療センター臨床検査科

書誌事項

タイトル別名
  • Fetiform teratoma : a case report
  • 症例報告 胎児型奇形腫
  • ショウレイ ホウコク タイジガタ キケイシュ

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抄録

成熟嚢胞性奇形腫は外胚葉,中胚葉,内胚葉の成分を有し,卵巣良性腫瘍のうちでもっとも一般的な疾患である.しかし,その1型である胎児型奇形腫は非常にまれな疾患であり,文献的にも本例を含め28例の報告しかない.われわれは成熟嚢胞性奇形腫の診断で手術を施行したが,手術後に胎児型奇形腫と診断された症例を経験したので報告する.症例は22歳の未妊婦で月経過少を主訴に外来を受診した.初診時超音波画像で径2.0cm大の卵巣腫瘍を認めた.成熟嚢胞性奇形腫と卵巣機能不全の診断で3ヵ月毎に経過観察およびホルモン療法を施行していた.4年間で腫瘍が径5.0cm大としだいに増大し,さらにその3ヵ月後径7.0cm大と急激に増大してきたため腹腔鏡手術を施行した.摘出標本は径5.0cm×7.0cm大の嚢胞性腫瘤で,内部に充実性部分を有していた.充実性部分は頭部,体幹,四肢様構造をもち胎児に類似していた.組織学的には脳,脊椎,皮膚,毛髪,歯牙,骨,気管,消化管さらに骨格筋などを認めた.胎児型奇形腫の診断で現在外来で経過観察中である.また胎児型奇形腫と類似した形態を示す封入奇形腫,卵巣妊娠との相違点,胎児型奇形腫の発生についても文献的考察を加えた.〔産婦の進歩60(3):229-234,2008(平成20年8月)〕

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