子宮奇形を伴った原発性腟明細胞腺癌の1例

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  • A case report of primary vaginal cancer (clear cell adenocarcinoma) with uterine anomaly

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抄録

原発性腟癌は女性性器癌では卵管癌についでまれな疾患である.原発性腟癌はその組織型の大部分が扁平上皮癌であり,本邦において腟原発の明細胞腺癌の報告例はきわめて少ない.今回われわれは,若年発症の子宮奇形を伴った腟原発明細胞腺癌の1例を経験したので報告する.症例は29歳の未産婦で,不正性器出血を主訴に前医を受診した.同医で双角双頸子宮と子宮頸部擦過細胞診で裸核状,核小体大型の異型細胞を認めた.生検組織診で明細胞腺癌の診断を受け精査加療目的に当科を紹介受診した.初診時,内診にて双角双頸子宮で,右腟壁に突出している腫瘤を認めた.子宮傍腟結合織に抵抗は触れず,子宮頸癌Ib期の診断で腟壁広範囲切除を含む広汎性子宮全摘出術を施行した.手術標本の病理組織診で,腟壁の腫瘤は腺腔形成が著明で内腔に短乳頭状構造が形成され,腫瘍細胞は細胞質の淡明なものは少ないもののhobnail細胞が明瞭であることから,明細胞腺癌と診断された.子宮頸部,子宮傍腟結合織に浸潤所見がないため,術後診断は原発性腟癌I期であり補助化学療法としてCDDP-CPT-11療法を5コース施行した.現在術後8ヵ月経過するも再発徴候を認めていない.〔産婦の進歩56(4):452-457,2004(平成16年11月)〕<br>

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