産褥期に急激な腹水貯留と血清CA125の上昇を認め悪性腫瘍と偽診された結核性腹膜炎の1症例

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  • Postpartum tuberculous peritonitis mimicking malignant tumor with ascites and elevated serum CA125

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抄録

結核性腹膜炎は,本邦結核患者の1%未満とされ,結核のなかでは比較的まれである.われわれは産褥期に悪性腫瘍と偽診された結核性腹膜炎を経験したので報告する.<br>  症例は,正常経腟分娩後1ヵ月目の産褥検診にて腹水貯留と臍周辺部の腫瘤,血清CA125の異常高値を示した.胸部X線では肺結核を示唆する所見は得られず,腹水の塗抹鏡検,培養検査でも結核菌感染を示す所見は得られなかった.ガリウムシンチグラムにて臍周囲のび慢性異常集積像を認めたため,悪性腫瘍を疑い試験開腹術を施行した.腹腔内には多量の腹水と大網ならびに子宮,付属器,腸管の表面に小顆粒状の腫瘤を多数認め,迅速病理にて抗酸菌感染を強く疑う,乾酪壊死を伴った類上皮肉芽腫が確認された.術後,腹水の結核菌PCR検査は陰性であったが,喀痰のPCR検査は陽性であった.さらに,喀痰の塗抹鏡検,培養検査にて結核菌を確認し,結核性腹膜炎の確定診断を得た.その後は3剤の抗結核薬の使用により,腹水,腹部腫瘤は消失し血清CA125も正常化した.〔産婦の進歩56(1):5-9,2004(平成16年2月)〕<br>

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