Mechanosensing of blood flow in vascular endothelial cells

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  • 血管内皮細胞における血流刺激のメカノセンシング
  • ケッカン ナイヒ サイボウ ニ オケル ケツリュウ シゲキ ノ メカノセンシング

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血管の内面を一層に覆う血管内皮細胞には,血流に起因するメカニカルストレスである流れずり応力が作用している.血管内皮細胞が流れずり応力の情報を介して血行動態の変化を捉え,それに応答することで循環系の恒常性を維持する役割を果たしている.血管内皮細胞には流れずり応力の変化を感知し,細胞応答を起こす働きが備わっている.細胞の形態が血流の方向に伸展,配向したり,一酸化窒素(NO)やプロスタサイクリンの産生が亢進するなど,細胞の機能を修飾したり,それら細胞の機能に関連した遺伝子の発現にも影響を及ぼす.流れずり応力は転写やmRNAの安定化を介して数百にのぼる多数の内皮遺伝子の発現を修飾する.これら血流刺激に伴う内皮細胞の応答が障害されると,高血圧,動脈瘤,血栓,粥状動脈硬化といった血管病の発生につながる.これらの事実は血流刺激の情報を細胞内部へ伝達するメカノセンシング機構が存在することを示唆し,現在までイオンチャネル,増殖因子受容体,Gタンパク質共役受容体,カベオラ,接着分子,細胞骨格,グリコカリックス,一次繊毛など様々な膜タンパク質やミクロドメインが関わり,その下流で多岐に渡る情報伝達経路が活性することが報告されているが,まだ詳細な分子機構は解明されていない.最近,細胞のメカノセンシングに細胞から放出されるアデノシン三リン酸(ATP)と細胞膜に発現するATP受容体を介するATP-メカノカップリング機構が注目されている.血管においても流れずり応力により内皮細胞のカベオラからATPが放出され,それが細胞膜に発現するATP作動性カチオンチャネルP2X4を活性化して細胞外カルシウム(Ca2+)の流入反応を起こす機構が存在する.最近,P2X4 欠損マウスで流れずり応力のCa2+シグナリングが起こらなくなると血流依存性に起こる内皮のNO産生や血管拡張反応や血管のリモデリングに障害が現れることが示された.

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