貧血の経過観察中に腎機能低下から診断に至ったネフロン癆の1例

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  • A case study of nephronophthisis in a boy who was detected during anemia treatment

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抄録

貧血の経過観察中に腎機能低下から診断に至ったネフロン癆の1例を経験した。症例は8歳11か月男児。過去に腎疾患を指摘されたことはなく,学校検尿でも異常はなかった。6歳6か月時に近医での採血で貧血を指摘され総合病院小児科を紹介受診された。小児科受診の際の採血検査ではHb9.7g/dL Cr0.56mg/dLであった。鉄欠乏性貧血の診断で,以後外来にて鉄剤内服となった。しかし貧血の改善はなく,8歳11か月時の貧血精査のための採血で腎機能低下を発見され (BUN67mg/dL, Cr3.55mg/dL),当科を紹介となった。当科初診時にestimate glomerular filtration rate (以下,eGFR) 18.04ml/min/1.73m2,CKD stage4であった。腎生検を施行しネフロン癆と確定した。診断後に末期腎不全となったため腹膜透析を導入した。<br> ネフロン癆は腎移植以外の根本的治療法の確立していない腎疾患であるが,早期に発見することで心血管系障害や成長障害などの合併症に対して,重大な後遺症を残さないように治療介入することはできると考える。早期に発見するためにネフロン癆の初発症状と腎外病変を理解し,常に鑑別診断として考慮することが大切である。

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