Doxil<sup>®</sup>投与,HAART療法が著効したエイズ関連型カポジ肉腫の1例

  • 中村 元泰
    東邦大学医療センター大森病院皮膚科学教室第1講座
  • 大橋 則夫
    東邦大学医療センター大森病院皮膚科学教室第1講座
  • 関東 裕美
    東邦大学医療センター大森病院皮膚科学教室第1講座
  • 吉澤 定子
    東邦大学医療センター大森病院感染症管理室
  • 石河 晃
    東邦大学医療センター大森病院皮膚科学教室第1講座

書誌事項

タイトル別名
  • AIDS-related Kaposi sarcoma

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抄録

右足底に生じたエイズ関連型カポジ肉腫に対し,Doxil®投与と,HAART療法が著効した症例を経験した。症例は39歳,男性。ギニア出身。既往歴,家族歴に特記すべきものなし。初診の1ヵ月前,アンゴラに滞在中から右足底に発赤と腫脹が出現。アンゴラの病院で切開を受け投薬を受けたが改善なく,同部位に隆起性の皮膚病変を生じたため日本に帰国後当科を受診した。初診時,右足底に径32×31mmの弾性硬の腫瘤がみられた。腫瘤は不整に隆起し,隆起部は紅色を呈していた。周囲には紫褐色の色素沈着がみられた。病理組織学的には赤血球を容れた不整な脈管腔と血管内皮細胞様の紡錐形細胞の増殖がみられた。腫瘍細胞は免疫組織学的にvimentin,CD31,CD34,第VIII因子,D2-40陽性であった。また,HHV8の潜伏蛋白が陽性であり,HHV8の感染が確認された。血液検査では,WB法でHIV-1陽性。以上より,エイズ関連型カポジ肉腫と診断した。2009年8月よりDoxil®投与を開始し,その後9月よりHAART療法を開始。腫瘍の平坦化,縮小が得られ,CD4の回復,HIVウイルスRNAの陰性化が得られている。

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参考文献 (12)*注記

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