経皮的腎動脈形成術 (PTRA) により腎機能と難治性高血圧の著明な改善が得られた両側腎動脈狭窄症 (RAS) の2例

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タイトル別名
  • Two cases of bilateral renal artery stenosis successfully-treated by stentsupported percutaneous transluminal renal angioplasty, followed by marked improvement of severe renal dysfunction or refractory hypertension

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抄録

今回われわれは, 両側腎動脈狭窄症 (RAS) による再発性の心不全と急性腎不全, あるいは治療抵抗性高血圧をきたした2症例を経験した.<BR>症例1: 72歳, 女性. 僧帽弁置換術後の低左心機能症例で心不全入院を繰り返していた. 今回心不全加療中に急性腎前性腎不全を発症して血液透析導入となり, その後両側RASの存在が判明した. 両腎とも8.5cm大と軽度萎縮していたが, 透析から離脱困難だったこともあり腎機能と血行動態の改善を目指してステント留置による経皮的腎動脈形成術 (PTRA) を施行した. 術直後より著明な腎機能の改善が得られ, 透析から離脱できるとともに慢性期の心不全の管理も容易となった.<BR>症例2: 63歳, 女性. 冠動脈3枝病変に対するバイパス術直前に, 両側RASによる難治性高血圧が顕在化した. 腎動脈エコー上, 腎硬化症の指標である腎抵抗係数は両側とも1.0と著明高値であったが, 薬物治療抵抗性の高血圧であったため両側RASに対してPTRA (ステント留置によるPTRA) を施行した. 術後血圧は著明に改善して降圧薬の減量が可能となり, その後冠動脈バイパス術が無事に施行された. 以上の2症例はいずれも症候性RASに対してPTRAが有効であった. 特異的な臨床徴候に乏しく見逃されることの多いRASとその病態, および適応をめぐっていまだ議論の多いPTRAを考えるうえで示唆に富む2症例であり, ここに報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 42 (1), 49-59, 2010

    公益財団法人 日本心臓財団

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