低透過性陰イオンによって増大した骨格筋活動電位の後電位とCaイオンとの関係

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タイトル別名
  • THE CORRELATION BETWEEN ENHANCED AFTER POTENTIAL BY LESS PERMEABLE ANIONS AND CA IONS
  • テイ トウカセイ インイオン ニ ヨッテ ゾウダイシタ コッカクキン カツドウ

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抄録

食用蛙の縫工筋の活動電位を隔絶法により単相性に誘導し, 環境液中のClイオンを全部透過性の低いNO3イオンに置き換えるとspike電位の下降脚の延長と著しい陰性後電位の増大延長が現われ, これに応じて収縮の増大延長が現われる.この様な増大延長した陰性後電位はCaイオンの濃度により変化し, Caイオン濃度を正常値 (Ringer液) より増大しても減少しても増大する.多数の実験例について陰性後電位の持続時間を測定した結果, Caイオン濃度が正常値の2倍で, 陰性後電位の持続は正常より減少するが, Caイオン濃度を10倍あるいは半分にすると125%ほどまでに増大する.<BR>NO3-Ringer液中では陰性後電位に続いて陽性後電位が出現する.この振幅も環境液中のCaイオンにより影響をうけ, Caイオン濃度の増減により増大する.この振幅は正常値の半分にCaイオン量を減少すると正常値よりも小さくなるが, それよりCaイオン量を減じた場合あるいは増した場合, 180%まで増大した.<BR>NO3-Ringer液中で出現する陰性陽性後電位はCl-Ringer液中で出現する陰性後電位と同様, グリセリン処理筋で消失した.ただグリセリン処理筋でも経過の長い振幅の小さな陰性後電位は残存し, これはCl-Ringer液でもNO3-Ringer液でも同様に観察された.<BR>このように陰性後電位はグリセリン処理筋で消失するので, 筋の横管系に由来する電位と考えられるが, またこの電位はNO3-Ringer液で増大延長して現われ, Caイオンの影響を受けるので興奮収縮連関と直接関係ある電位であると想定される.<BR>Caイオンの増減により陰性陽性後電位が増大するのはCaイオンには興奮性膜に対するstabilizerとしての作用と収縮のactivatorとして働く作用とがあるためである可能性を考察した.<BR>稿を終るにあたり, 終始御指導と御校閲を賜つた武重千冬教授に深謝すると共に教室員各位に感謝致します.

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