ラット大腸運動に対するEndomorphinsの影響

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タイトル別名
  • EFFECTS OF ENDOMORPHINS ON THE MOTILITY OF THE LARGE INTESTINE IN RATS
  • ラット ダイチョウ ウンドウ ニ タイスル Endomorphins ノ エイキョウ

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抄録

1997年に発見されたEndomorphins (endomorphin-1, endomorphin-2) は, これまで内因性オピオイドとしてその存在が知られていなかった選択的なμ-オピオイドレセプターagonistである。現在, 鎮痛作用, 血圧降下作用についての研究が進められているが, 消化管運動への影響については, ほとんど報告されていない.本研究では, endomorphins, morphineをラットに経静脈的に投与し, あるいは摘出腸管に直接作用させ, 自発的な大腸運動への影響を検討した.ラットの大腸に自己製作した内圧測定用balloon付きカテーテルを挿入し, 腸管内圧を連続的にモニタリングした.経静脈的にendomorphin-1, endomorphin-2を各々10nmol/kg, 30nmol/kg, 100nmol/kg投与すると, endomorphin-1, endomorphin-2ともに, 用量依存的にラット大腸運動を抑制した.endomorphin100nmo1/kgの抑制作用は, morphine 10nmol/kgの投与による抑制効果とほぼ同等であった.また, オピオイド受容体のantagonistであるnaloxone2.0mg/kgの前投与によって, 抑制効果は完全に拮抗された.これらの抑制作用が, 腸管への直接作用によるものか, 中枢神経系や自律神経系を介する作用なのかを確認するため, 摘出したラット大腸を用いて, 静脈投与量の1000-10000倍にあたるendomorphins 10-100μmol, 1000-50000倍にあたるmorphine 10-500μmolを各々Krebs液に溶解し, 5ml/minで灌流し, 直接腸管に作用させた.対照としたAcetylcholine Chloride 100μmolを灌流すると腸管への直接作用により強い収縮を認めたが, endomorphins, morphineは, 腸管の自発的収縮を抑制しなかった.以上の結果からendomorp hins, morphineの経静脈的投与により生じる腸管の自発運動抑制は, 腸管への直接作用ではなく, 中枢神経系あるいは自律神経系への作用によることが示唆された.また, 新たに発見された内因性オピオイドendomorphinsが大腸運動の調節に関与する可能性が示唆された.

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