膵癌を含む重複癌の臨床病理学的検討

書誌事項

タイトル別名
  • CLINICOPATHOLOGIC STUDY OF PANCREATIC CANCER ASSOCIATED WITH OTHER PRIMARY MALIGNANCIES

この論文をさがす

抄録

悪性腫瘍1726剖検例を対象として膵癌を含む重複癌の実態について臨床病理学的に検討した.膵癌症例は137例でそのうち18例 (13.1%) に他臓器に重複癌の合併が認められた.重複癌症例の男女比は1: 1.57 (膵癌単独症例1: 0.83) で女性例が多く, 平均年齢は70.9歳 (膵癌単独症例65.6歳) と高い傾向がみられた.膵癌は重複・単独症例ともに体尾部に好発しており, 分化型管状腺癌を示す症例が多かった.重複する他臓器癌の内訳は甲状腺癌5病巣, 胃癌3, 肺癌2, 前立腺癌2, 他各1つつで腺癌が7割を占めていた.重複時期は異時性5病巣, 同時性15 (うち潜伏癌7) 病巣であった.病理解剖学的に, 膵癌の進展性が重複他臓器癌に比し広範な症例は80%を越え, 重複癌症例の予後は膵癌の進行度に依存すると考えられた.膵癌の早期発見・治療が現実的になりつつある現在, 膵癌症例においても重複癌の発生を念頭に置いた検索の必要性が示唆された.

収録刊行物

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ