人工股関節全置換術 (THR) の検討

書誌事項

タイトル別名
  • STUDIES OF TOTAL HIP REPLACEMENT (THR)
  • 人工股関節全置換術(THR)の検討-1-臨床的・生体力学的研究
  • ジンコウ コカンセツ ゼン チカンジュツ THR ノ ケントウ 1 リンショウ
  • Part I: Clinical and Biomechanical Studies
  • 第1編: 臨床的・生体力学的研究

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抄録

人工股関節全置換術後6ヵ月から10年の経過例54例62関節について, 臨床的, X線学的に検索を行なった.また, 著者の考案した股関節合力測定法を用いて生体力学的な観点から検討を行ない次の結果をえた.1) 当科で施行したTHR例の10年間の成績 (主にCharnley-M霍ller型) は, 優および良 (80点以上) が74%と必ずしも満足する結果ではなかったが, 少なくとも除痛効果の点で従来の治療法よりもはるかに満足すべきものであった.2) 成績は術後2年目まで良好で一定の成績をうることができるが, 2年目以降から低下の傾向が認められる.この一因として, 股関節のectopicboneおよび遊離骨片が関与すると考えられる例があった.3) 術後合併症は18%に発生をみた.その内訳は, 人工骨頭脱臼2例 (3%) , 深部感染2例 (3%) , 人工骨頭のゆるみ2例 (3%) , 人工臼蓋のゆるみ3例 (5%) である.4) 著者の考案した股関節合力測定法は, 骨頭中心から体中心線への垂線aと, 水平軸と70°角をなし大転子に接する接線への垂線bを求め, 合力R=a/b+1としたも瓜他の方法とも誤差は少なく極めて蔽な方激術前術後のX纐評価には, 有効な方法である.これにより臨床成績を検討したところ, 成績の優劣とは相関がなく, 股外反位, 内反位のPrsothesis挿入とも相関はみられなかった.5) 臼蓋形成不全性変股症 (21関節) の臼蓋部2点の厚さを計測した結果, 寛骨臼窩部は正常女性の2倍の厚みがある.また, 臼底内側壁が肥厚しているdouble acetabular floorが, 21関節中9関節 (43%) に存在した.6) ある程度の臼蓋形成不全性変股症は骨盤内板近くまで掘削すれば, 合力は小さくなり, ほぼ理想的なsocketの設置が可能であった.しかし, RA股には深い掘削は適用すべきでない.7) THR後の大転子部骨萎縮は76%に認められる.これは外転筋の作用不全が重要な因子と考えられた.THR後の外転筋力の改善のための後療法は長期的に行なうことが重要である.

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