骨表層の微細構造―表層線維と骨の付着様式について―

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タイトル別名
  • FINE STRUCTURE OF THE BONE SURFACE: THE CONNECTION BETWEEN BONE SURFACE AND SURFACE FIBRES
  • ホネ ヒョウソウ ノ ビサイ コウゾウ ヒョウソウ センイ ト ホネ ノ フチ

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抄録

骨端や骨幹端における靱帯, 腱の線維と骨の結合様式については古くはSharpey線維としていろいろ研究されてきている.教室の服部, 大野らにより走査型電子顕微鏡 (Scanning electron microscopy以下SEMと略す) によるこれらの部位の観察は既に報告された.しかし, 骨幹部骨表層と骨膜の結合についてSEMによる詳細な報告は殆んどない.よって著者は胎児の大腿骨と脛骨, 高度挫減や血行障害により切断された小児, 成人大腿骨, 脛骨, 腓骨ならびに中手骨を用いて骨表層と表層線維との結合状態を骨幹端部, 骨幹部にわけ, その横断面, 縦断面につき光学顕微鏡, SEMにてそれぞれの部位につき微細構造を観察した.胎児骨では, 20週胎児の表層骨梁は連続性を欠き, その配列は粗である.骨表層線維と骨梁との関係は骨梁凸面に付着する線維が多く, 凹面には血管を有しているものが多く, 線維はこれをとり囲んでいる.しかし結合様式には部位による差は認められない.40週胎児では骨梁間の間隔はせばまってゆき, しだいに平坦となってくる.そして骨幹端部, 骨幹部の部位による差がはっきりとしてくる.すなわちこの時期になると表層骨梁はたがいに癒合し陥凹, 小窩, 管腔構造を形づくるようになり表層線維は骨梁内に埋入しているもの, 小窩辺縁に付着するもの, 小窩内の血管と連絡するものなど多彩となる.この小窩は骨幹端部に多く, この中に血管を有するものが多い.骨幹部では小窩をもたずに直接骨梁内へ侵入する線維 (Sharpey線維) が多くなる.成人骨の観察では, 層板構造が完成されていて骨幹端, 骨幹の差異が明らかになる.骨幹端部では小窩が多くみられ小窩内に血管を有するものが多い.この血管の周囲を線維がとり囲み骨と結合しているものがある.また血管と結びつける線維があり網目状に血管をとり囲んでいるが骨との結合力は弱い.そのほか直接骨の膠原線維へ移行するものがある.骨幹部にも小窩はみられるが, この小窩は比較的浅くその数も骨幹端部に比べて少ない.この小窩へ侵入する線維は集束して直接骨膠原線維へと移行するものもあるが各個に平らな骨面に一定の角度をもって入るものがみられた.それらは骨の外層板近くまで達して骨膠原線維へ移行している.表層線維の骨への付着様式は胎生40週で概ね成人のそれに近くなる.骨表層線維には直接骨の線維に結合するものと血管を包むように結合するものがある.成長に伴ない骨幹部の線維に被われた血管は少なくなり, それら表層線維は骨膜表層線維となり骨幹端で靱帯, 腱へ移行しているように思われる.成人の靱帯, 腱は骨膜を貫通して直接骨に埋入結合するものもみられた.

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