ラット水晶体タンパク質の2次元電気泳動法による検討―第1報: 水可溶性タンパク質について―

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  • RAT LENS WATER-SOLUBLE PROTEIN ANALYZED BY TWO-DIMENSIONAL SDS POLYACRYLAMIDE GEL ELECTROPHORESIS

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抄録

両眼性に自然発症白内障をきたすIhara Cataract Rar/f strain (以下ICR/fラットと略) と対照とした正常Wistar系ラット (以下Wistarラットと略) 水晶体の水可溶性タンパク質 (Water-soluble protein: WSP) の4週齢から70週齢までの加齢変動について, 2次元SDS濃度勾配ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 (24-D SDS PAGE) を用いて分析した.ICR/fラット, Wistarラットとも2-D SDS PAGE後のポリペプチドスポットは50個以上検出され, そのうち特徴のあった28個のスポットのStainingの加齢変化と2種のラットの相違点について検討した.ICR/fラット, Wistarラットとも加齢に伴う挙動が同じで共通の加齢変動と考えられたスポットは9個, ICR/fラットとWistarラットで異なる加齢変動を示すスポットは11個であった.そこで, 個々のスポットがどのクリスタリン分画に属するかを検討した.共通の加齢変動を示すスポット群9個は, α分画に4個, β分画に1個, γ分画に3個, それ以外の分画に3個属しており, β分画に属するものが少なかった.老化との関連について, これらのスポット群のなかでもpI 5.5, 分子量23.0kDaのスポットがICR/fラット, Wistarラットとも70週齢の個体でのみ検出され, 老化に特徴的なポリペプチドの存在が考えられた.一方ICR/fラットに特有な加齢変動を示す11個のスポット群は, α分画に5個, β分画に4個, γ分画に3個, それ以外の分画に2個属しており, α分画に属するものが高率だった.ICR/fラットにはWistarラットと異なる加齢変動を示すポリペプチド群が存在し, ICR/fラットに特徴的な早期水晶体混濁の原因につながる可能性が示唆された.

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