抗エンドルフィン血清による針麻酔の鎮痛発現阻止

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  • ABOLITION OF ANALGESIA CAUSED BY LOW FREQUENCY ACUPUNCTURE STIMULATION AFTER INTRAVENTRICULAR APPLICATION OF ANTI-SERUM OF β-ENDORPHIN

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抄録

低頻度の経穴の刺激によって出現する針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) は, ナロキソンで拮抗されるので, その発現には内因性モルヒネ様物質が関与すると考えられるが, 如何なる内因性モルヒネ様物質が, 何処で作用するのかは明らかではない.幾多の内因性モルヒネ様物質のうちβ-エンドルフィンの針鎮痛への関与の有無と, その作用部位の検索とを行った.ラットの尾逃避反応の潜伏期を痛みの閾値とし, その増加率を鎮痛とすると, 脳室内に投与した抗β-エルドンフィン血清で前脛骨筋を経穴として発現させた針鎮痛及びこれと同程度の鎮痛が発現する0.5mg/kg腹腔内投与のモルヒネ鎮痛は, ともにその出現が阻止された.針, モルヒネ鎮痛はともに下垂体の除去で出現が阻止され, 経穴から下垂体に到る中枢経路を針鎮痛の求心路, 下垂体から遊離される物質によって活動して痛覚の遮断にあつかる下行性痛覚抑制系を針鎮痛の遠心路とすると, 求心路の刺激による鎮痛はナロキソンで拮抗されるが, 遠心路の刺激による鎮痛はナロキソンでは拮抗されないので, 内因性モルヒネ様物質は求心路の何処かに関与すると考えられる.そこで求心路と同定されている中脳中心灰白質背側部及び下垂体に到る直前の求心路にあたる視床下部前部の刺激による鎮痛に対する抗β-エンドルフィン血清の作用を検した.何れの部位の刺激による鎮痛も脳室内に投与した抗β-エンドルフィン血清で出現が阻止された, 下垂体と連絡する視索上核や正中隆起の電気刺激では鎮痛が出現しなかった.以上の結果から幾多の内因性モルヒネ様物質のうちβ-エンドルフィドが針鎮痛の発現に関与することが明らかとなった.しかしその作用点については少くとも視床下部前部から下垂体に到る部位に存在することが示唆されたが, その詳細な部位は明らかにすることは出来なかった.

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