高齢者良性卵巣腫瘍患者に対する腹腔鏡下手術の有用性の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Laparoscopic surgery in elderly patients with benign ovarian tumor : a retrospective evaluation of laparoscopic and open adnexectomy
  • 高齢者良性卵巣腫瘍患者に対する腹腔鏡下手術の有用性の検討 : 開腹術と比較して
  • コウレイシャ リョウセイ ランソウ シュヨウ カンジャ ニ タイスル フッコウキョウ シタテジュツ ノ ユウヨウセイ ノ ケントウ : カイフクジュツ ト ヒカク シテ
  • -開腹術と比較して-

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抄録

近年,婦人科領域において高齢者に対する腹腔鏡下手術は多くなってきているが,開腹手術と比較して安全性,有用性を検討した症例は少ない.画像診断で良性卵巣腫瘍と術前診断された70歳以上の23症例に対して,10症例に腹腔鏡下,13症例に開腹で両側付属器摘出術を行い,両者の患者背景,手術内容,術後経過について後方視的比較検討を行った.年齢は腹腔鏡群と開腹群とでそれぞれ75.2歳,78.6歳で差がなかった.術前合併症,腹腔内手術の既往も両群で有意差はなかった.腫瘍最大径は開腹群のほうが有意に大きかった(7.7cm,12.1cm,p=0.027).また腹腔鏡群が手術時間は長く(135分,86分,p=0.008),出血量(13.7ml,56.6ml,p=0.016)は少なかった.手術前後のCRP値の上昇は開腹群のほうが有意に大きかった(p=0.047).また術当日,術後1日,3日のペインスケールは開腹群で有意に高かった.術後合併症には有意差はなかった.今回の検討症例では,高齢者に腹腔鏡下手術を行ううえで危惧される,呼吸器,循環器系の合併症は認めなかった.また2群間の術中出血,術前後のCRP値の差,ペインスケールの比較により,腹腔鏡下手術は開腹手術に比べて手術侵襲が少なく術後疼痛が軽度であることが示された.高齢者良性卵巣腫瘍に対する腹腔鏡下手術は安全に施行可能であり,手術侵襲,術後疼痛は開腹術に比して少なく,有用であると考えられた.〔産婦の進歩64(1):1-8,2012(平成24年2月)〕

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