糖尿病合併妊娠および妊娠糖尿病の周産期帰結に関する検討

  • 園山 綾子
    神戸大学大学院医学系研究科外科系講座産科婦人科学分野
  • 谷村 憲司
    神戸大学大学院医学系研究科外科系講座産科婦人科学分野
  • 森實 真由美
    神戸大学大学院医学系研究科外科系講座産科婦人科学分野
  • 小嶋 伸恵
    神戸大学大学院医学系研究科外科系講座産科婦人科学分野
  • 山田 秀人
    神戸大学大学院医学系研究科外科系講座産科婦人科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Perinatal outcome in women with diabetes mellitus and gestational diabetes mellitus
  • トウニョウビョウ ガッペイ ニンシン オヨビ ニンシン トウニョウビョウ ノ シュウサンキ キケツ ニ カンスル ケントウ

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抄録

近年,妊婦を取り巻く生活環境の変化から糖尿病(DM)合併妊娠および妊娠糖尿病(GDM)症例が増加している.われわれは,糖尿病専門医とともに積極的にインスリンを用いて血糖コントロールを行いながら周産期管理を行っている.DM合併妊娠およびGDM症例の周産期帰結を検討した.対象は2005年1月から2010年9月までに管理を行ったDM合併妊娠 65例,GDM 65例の合計130例で,1型DM 合併31例,2型DM 合併34例,旧基準を満たすGDM(旧GDM)40例,旧基準に入らず新基準のみを満たすGDM(新GDM)25例の4病型で,周産期帰結などを後方視的に比較した.全症例背景は,母体年齢(平均±SD);33.3±5.2歳,分娩週数;38.0±2.3週,児出生体重;2906.2±649.3g,帝王切開率;43.7%(52/119例)であった.1型DMでは,heavy for date(HFD)児や肩甲難産の比率が有意に高かった.これは,1型DMはHbA1cやグリコアルブミン(GA)の平均値が他の病型よりも有意に高く,また体重が妊娠前より10kg以上の増加を認めた体重コントロール不良例が多かったことと関係すると考えられる.他に,2型DMは高血圧合併や妊娠高血圧症候群,肥満合併が多い傾向にあった.新GDM症例においてもHOMA-R 2.5以上のインスリン抵抗性を示す症例を認め,HFD児は3例に食事療法に加えてインスリン療法が必要であった症例も3例認めた.1型DM合併妊娠では2型DM, GDMと比べて血糖コントロールに苦慮する症例も多く,より慎重な管理が必要であると考えられた.〔産婦の進歩64(1):9-16,2012(平成24年2月)〕

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