ファイバースコープの開発とその後の発展

  • 丹羽 寛文
    日本消化器内視鏡学会名誉理事長・最高顧問,聖マリアンナ医科大学客員教授

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  • DEVELOPMENT OF FIBERSCOPE AND ITS PROGRESS

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抄録

ファイバースコープはHirschowitzらにより試作され,1957年5月アメリカ胃鏡学会で発表された.その後1960年よりACMI社からGastroduodenal fiberscopeとして発売されたが,当初は日本への輸出が禁ぜられていた.日本で使える様になったのは昭和37(1962)年6月以来である.国内での最初の試作は昭和38年3月亀谷らのもので,食道が対象で,胃内の観察は不十分であった.側視式の胃ファイバースコープは,昭和38(1963)年10月に町田製作所から発表され,翌年3月にはオリンパス社より胃カメラにファイバースコープを組み込んだファイバースコープ付き胃カメラGTFが発売された.GTFでは肉眼観察に加えて良好な写真が得られ,この器種は広く迎えられた.その後,より細く先端彎曲機構を取り入れた機器が発表され,生検機構も組み込まれた.<BR>胃カメラ組み込みの機器では先端にレンズ,ランプ,フィルム格納部があって構造上側視式しか出来なかったが,その後グラスファイバーによる照明が取り入れられ,撮影も接眼部に装着したカメラで行われ,視方向を前方直視式にすることが可能となった.しかし当初はこの方式では胃内観察に種々の問題があった.この欠点を補う目的で前方斜視方式の機器も作られた.その後極めて細く,先端屈曲部の短いいわゆる細径パンエンドスコープが登場した.これでは全上部消化管を一度の挿入操作で観察出来,先端屈曲部が短く,屈曲角度が大きく,広角な為観察性能は良好で,その後前方直視式スコープが一般的になった.<BR>その後電子スコープの登場でファイバースコープの時代もわずか50年しか続かなかった.しかし消化管内視鏡の主要課題はこの間に殆どすべて解決し,その間に果たしたファイバースコープの役割は極めて大きい.

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