空洞性腫瘤を呈し肺真菌感染を伴った肺腺癌の1切除例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Pulmonary Aspergillosis in Vacuous Lung Adenocarcinoma

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抄録

背景.肺癌と感染症の合併例は,これまでにしばしば報告されているが,肺癌と真菌感染の同部位での合併例は稀である.今回我々は,肺癌の空洞内部にアスペルギルスと考えられる真菌の感染を合併した1例を経験し,これまでの報告と併せて検討を行った.症例.76歳男性.胸部X線で左下葉に長径約10 cmの空洞性陰影を指摘された.thin-section CT画像では不均一に肥厚する空洞壁および空洞内に隔壁の所見を認めた.精査の結果肺癌が疑われ左下葉切除を施行.病理診断は肺腺癌,stage IIB(pT3N0M0)であった.また病理組織で腫瘍の空洞内に真菌塊(アスペルギルス疑い)を認めた.結論.肺癌と真菌感染の合併例は稀であり,空洞を形成する例が多い.本症例では癌性空洞が形成され,それによる局所免疫能の低下が真菌感染を引き起こしたと考えられた.癌性空洞の形成機序は,本症例においては複数の要因が示唆された.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 52 (4), 414-419, 2012

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

参考文献 (6)*注記

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