分娩に合併した会陰裂傷に連続しない直腸腟穿孔の一例

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タイトル別名
  • A Case of Recto-vaginal Perforation not Resulting in Perineal Laceration Associated with Childbirth

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抄録

症例は30歳の初産婦.会陰切開を伴う正常分娩で2,510gの第一子を出産した.分娩時に母体の肛門より脱出した児の上肢が確認され,直腸腟穿孔の疑いにて当科依頼となった.<BR>腟内診では腟後壁に約5cmの裂創を認め,外陰部より右後方に約2cmの会陰切開創が存在した.会陰切開創と肛門の間には正常な皮膚が介在し連続性を認めなかった.また,直腸診では直腸粘膜に約2cmの裂創が存在し,肛門側は歯状線のすぐ口側であった.<BR>以上より直腸腟穿孔を疑い緊急手術を施行した.直腸前壁の裂創は伸展状態では約4cmであり消息子を挿入すると腟との間に約1.5cmにわたる交通を認めた.腟壁を全層縫合したのち,直腸壁を垂直マットレス縫合した.<BR>第3病日に内視鏡で観察を行ったが治癒過程は良好であった.第4病日より食事開始,第5病日退院となった.<BR>分娩に合併した会陰裂傷に連続しない直腸腟穿孔は稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

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