吉益東洞の医学思想—中国古代医学思想との対比において

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • YOSHIMASU Todo's Philosophy of Medicine:In Comparison with that in Ancient China

抄録

吉益東洞,我が国江戸時代における,所謂“古医方”最大の医家であるが,彼の医学思想については,未だ論究の及んでいない点もあるように思われる。そこでこの東洞の医学思想について,中国古代の医学に鑑み,その万病一毒説を中心に考えてゆきたい。<BR>そこで先ず,東洞がその万病一毒説の淵源としている『呂氏春秋』「尽数篇」を取り上げ,そこにおける中国医学の基本的な考え方,即ち天地一体の思想を垣間見て,更にそれをその他の中国医学古典において概観してゆく。このような医学思想的観点からの中国医学との対比が,従来の東洞研究に欠けていたのである。<BR>その結果,東洞がそれらを吸収しその根底に置きつつ,更に弛まぬ医学的実践に基づいて,独自の“漢方医学”を樹立したことが分かる。即ち,彼は中国医学の伝統を守りつつ,敢えて峻剤を用いて病毒を去る,という臨床的姿勢を貫き,かつ生薬1つ1つの薬効の分析に意を注いだのである。彼こそ正に“日本漢方の父”の1人であると言えるであろう。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679887398272
  • NII論文ID
    130002124054
  • DOI
    10.3937/kampomed.63.41
  • ISSN
    1882756X
    02874857
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ