褐色細胞腫摘出後も心機能低下が持続したカテコラミン心筋症の1例

DOI
  • 中村 牧子
    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター循環器科
  • 砂川 長彦
    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター循環器科
  • 前野 大志
    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター循環器科
  • 宮良 高史
    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター循環器科
  • 田場 洋二
    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター循環器科
  • 新城 治
    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター循環器科
  • 當真 隆
    沖縄県立南部医療センター・こども医療センター循環器科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of catecholamine cardiomyopathy with irreversible cardiac dysfunction after surgical resection of pheochromocytoma

この論文をさがす

抄録

症例は54歳, 女性, 高血圧の既往なし. 2008年3月嘔吐, 呼吸困難にて救急搬送された. 著明な低酸素血症を認め, 気管挿管施行, 胸部X線で心拡大と肺水腫を認めた. 来院時血圧160/110mmHgであったが挿管後82/60 mmHgに低下, 心エコーにて左室壁肥厚(15mm)と壁運動低下(左室駆出率ejection fraction; EF 25%)を認め, ドパミンを開始した. その後ドブタミン, カルペリチド, フロセミドを開始し肺うっ血は改善, 第3病日抜管した. しかし経過中に発作性の血圧, 脈拍上昇があり, 血中・尿中ノルアドレナリンの上昇を認め, 腹部CTとシンチグラムで右副腎褐色細胞腫と診断した. 眼底はScheie分類H1S0と高血圧性変化に乏しく, 非発作時は低血圧, 徐脈で, 非持続性心室頻拍(nonsustained ventricular tachycardia; NSVT)を認めた. 冠動脈に有意狭窄は認めず, そのほかの2次性心筋疾患を示唆する所見はなくカテコラミン心筋症と診断, ドキサゾシンを開始するもNYHA III~IV°の心不全が持続した. 第43病日, 右副腎腫瘍摘出術施行, 術後カテコラミン濃度は正常化したが心機能は改善せず, 左室造影では, 左室の拡大と局所的な瘤状変化を伴う壁運動低下(EF 30%)を認めた. 本例は発作型の褐色細胞腫で, 高血圧による血管障害は軽度だが心筋障害が不可逆的変化にいたったカテコラミン心筋症と考えられた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 43 (2), 188-193, 2011

    公益財団法人 日本心臓財団

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ