後下壁領域心筋梗塞後の虚血性心筋症および僧帽弁閉鎖不全症に対し経僧帽弁アプローチによる前後乳頭筋近接術(PMP)が有効であった1例

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タイトル別名
  • Papillary muscle plication through the mitral valve in ischemic cardiomyopathy following posteroinferior myocardial infarction

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抄録

前壁心筋梗塞による虚血性心筋症(ischemic cardiomyopathy; ICM)の心拡大に対するsurgical anterior left ventricular restoration(SVR)が心不全および左室リモデリングの改善, 長期予後の改善に寄与することはよく知られており, その術式は確立されたものとなっているが, 後下壁梗塞によるICMに対する術式は, いまだ確立されていない. 今回, われわれは後下壁梗塞による虚血性心筋症に虚血性僧帽弁閉鎖不全症(ischemic mitral regurgitation; MR)を合併したうっ血性心不全の症例に対し, 冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting; CABG), 人工弁輪による僧帽弁輪形成術(mitral annuloplasty; MAP)と同時に経僧帽弁アプローチによる前後乳頭筋近接術(PMP)を施行し, 術後左室容量減少およびMRの消失を認め良好な結果を得た. 経僧帽弁的PMPではviableな左室心筋を切開することなく梗塞部位のvolume reductionが可能であり, 後下壁領域の心筋梗塞によるICMに対し有効な術式であると考えられる.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 42 (7), 879-882, 2010

    公益財団法人 日本心臓財団

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