蘇生に成功した顕性WPW症候群の1例

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  • Successful cardiopulmonary resuscitation for manifest Wolf-Parkinson-White syndrome

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抄録

症例は23歳, 男性. 12歳時に失神し, てんかんとして他院に数年間の通院歴あり. 机に座って仕事中, 心肺停止状態となり, 救急隊の到着時に心室細動を認め, 電気的除細動が計2回施行されたが心拍は再開せず, 当院に搬送された. 来院後, 心肺蘇生により心拍が再開し, 冠動脈造影上は特記すべき異常を認めず, 低体温療法を施行し, 明らかな神経学的障害を認めない程度に回復した. 心電図上, δ波を認め, 電気生理学的検査を施行, 左室のKent束に対して高周波カテーテルアブレーションを施行し, 成功した. アセチルコリン負荷試験, ピルジカイニド負荷試験は陰性で, 電気生理学的検査により心室細動・心室頻拍は誘発されなかった. 特発性心室細動の可能性も否定しきれなかったが, 本人の希望で植込み型除細動器(ICD)は移植せず, 退院した. 心肺停止の原因としてWPW症候群が考えられ, 救命し, アブレーションのみ行い, ICDを移植せず経過をみた症例を経験したので報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 42 (SUPPL.2), S2_59-S2_63, 2010

    公益財団法人 日本心臓財団

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