真正粘菌におけるミトコンドリアの遺伝機構と性

  • 森山 陽介
    埼玉医科大学・ゲノム医学研究センター
  • 河野 重行
    東京大学大学院・新領域創成科学研究科・先端生命科学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • The multiple mating types and the uniparental inheritance of mitochondria in the true slime mold

抄録

動物や植物,原生生物を含む多くの真核生物において有性生殖の際にミトコンドリアの母性遺伝(片親遺伝)現象が普遍的にみられる.これは生殖細胞が同型であるか異型であるかを問わない.母性遺伝について最も受け入れられている仮説は,受精前あるいは受精後にオルガネラDNAが選択的に分解されるというものであった(Kuroiwa et al. 1982, Kuroiwa 1985).我々が真正粘菌を用い,片親由来のミトコンドリアDNA(mtDNA)が接合子の形成後に選択的に分解されることを明らかにしたことは,この仮説の直接的な証明となった.また,粘菌の性(接合型)は二極に収斂しておらず複数存在することから,性依存的にmtDNAが選択的に分解される機構について多くの手がかりが得られる.本総説では真正粘菌を用いることで明らかになったミトコンドリアの母性遺伝の機構について紹介したい.

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参考文献 (31)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680336328064
  • NII論文ID
    130002152896
  • DOI
    10.5685/plmorphol.23.3
  • ISSN
    18844154
    09189726
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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