メンブランフィルターへの固相抽出によるAs(III)及びAs(V)の目視分別分析

  • 舟山 剛史
    山形大学大学院理工学研究科バイオ化学工学専攻
  • 水口 仁志
    山形大学大学院理工学研究科バイオ化学工学専攻
  • 志田 惇一
    山形大学大学院理工学研究科バイオ化学工学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Visual Speciation Analysis of As<sup>III</sup> and As<sup>V</sup> by Solid-phase Extraction to a Membrane Filter
  • メンブランフィルター エ ノ コソウ チュウシュツ ニ ヨル As(Ⅲ)オヨビ As(Ⅴ)ノ モクシ フンベツ ブンセキ

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抄録

メンブランフィルターへの固相抽出によるヒ素(III)及びヒ素(V)の目視分別分析法を開発した.ヒ素(III)とジベンジルジチオカルバミン酸(DBDTC)の錯体は減圧ろ過によって親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のメンブランフィルターに定量的に捕集された.ヒ素(V)は捕集されずにろ液へと移るが,L-システインを還元剤に用いてヒ素(III)へ還元することで同様の操作でメンブランフィルター(MF)に捕集された.ヒ素(III)錯体を捕集したフィルターに銅(II)水溶液を接触させると,MFは銅(II)錯体への変換によって黄色に着色し,色の濃淡によってヒ素の濃度を目視で分析できることが分かった.試料体積が5 cm3の場合,目視での検出限界は2 μg dm-3であった.また,反射吸収測定では0~20 μg dm-3の範囲で直線の検量線が得られ,検出限界は0.2 μg dm-3であった.遷移金属イオンによる妨害は,あらかじめpH 7.0においてDBDTC錯体を形成させ,この沈殿をろ過分離することで回避された.また,本法を河川水試料へ適用したところ,μg dm-3レベルのヒ素(III)及びヒ素(V)の目視分別分析が可能であった.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 62 (8), 685-691, 2013

    公益社団法人 日本分析化学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (24)*注記

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