新生児B群溶血性連鎖球菌感染予防のための,妊娠中のクロラムフェニコール腟錠投与の試み

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タイトル別名
  • Antepartum vaginal administration of chloramphenicol for prevention of early-onset neonatal group B streptococcal
  • シンセイジ Bグン ヨウケツセイ レンサ キュウキン カンセン ヨボウ ノ タメ ノ,ニンシン チュウ ノ クロラムフェニコールチツジョウ トウヨ ノ ココロミ

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抄録

分娩時予防的抗菌剤投与(IAP)が行われるようになり早発型GBS感染症は減少したが,今後耐性菌のリスクが懸念される.耐性菌の原因となるIAPの対象症例を減らす可能性はないかと考え,34~37週にGBS陽性であった症例にクロラムフェニコール腟錠(CP腟錠)による局所除菌を試みた.同時にGBS保菌率,新生児への伝播率,IAP開始から分娩までの所要時間・破水から分娩までの所要時間が新生児へのGBS伝播に及ぼす影響について検討を行った.34~37週のスクリーニングを行った982例中139例(14.2%)がGBS陽性であった.CP腟錠を投与された妊婦98例のうち20例(20.4%)が陰性化したが,CP腟錠投与のなかった11例でも3例(27.3%)で自然にGBSが陰性化しており,CP腟錠による局所除菌の有効性は認められなかった.分娩時GBS陽性であった149例中17例(11.4%)で新生児GBS陽性であった.そのうち12例でIAPを施行されていたが,1例を除いてIAP開始から分娩までの時間が4時間未満であり,分娩時GBS陽性でIAPを行わなかった症例での新生児GBS陽性率と有意差はなかった.破水から分娩までの時間と新生児への伝播率には関連性を認めなかった.母体のGBS検査において,初回培養から4週間を経過すると陽性化する症例が急激に増えることから,4週間以上を経過した症例の再検査を検討することと,IAPから分娩までの時間を十分取るような工夫が必要と考えられた.〔産婦の進歩65(2):119-125,2013(平成25年5月)〕

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