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- 畠山 鎮次
- 北海道大学 大学院医学研究科
抄録
多くの細胞内タンパク質の分解にユビキチン-プロテアソーム系が関与している.この分解系により,細胞内シグナル伝達分子や癌関連遺伝子産物などの発現量は厳密に調節されている.ユビキチンはATP依存性にE1,E2,E3という一連の酵素カスケードによって標的タンパク質に結合され,その後ユビキチン化された多くのタンパク質はプロテアソームにより分解される.したがって,特にユビキチンリガーゼE3は標的タンパク質を認識し,最終的にユビキチンを付加するため,重要な酵素サブユニットと認識されている.ヒト遺伝子上にE3と予想されるタンパク質の遺伝子は約数百あることが推測されており,今回紹介するTRIMファミリータンパク質の遺伝子も,ヒトゲノムにおいて大きな遺伝子ファミリーを形成していることが判明している.最近になり,我々はTRIM21,TRIM25,TRIM32,TRIM68及びTRIM40が,癌化や免疫反応の制御に関与することを報告している[Nature Reviews Cancer (2011); Mol Med (2012); Carcinogenesis (2011); Cancer Res (2008); Mol Immunol (2008)].今後,免疫系の制御や癌化に対するTRIMファミリータンパク質の関与が明らかとなることで,免疫疾患や癌の治療法の新規シーズとしての可能性が期待できる.<br>
収録刊行物
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- 日本臨床免疫学会会誌
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日本臨床免疫学会会誌 35 (4), 292-292, 2012
日本臨床免疫学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679629374848
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- NII論文ID
- 130003363983
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- ISSN
- 13497413
- 09114300
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可