W8-4  ベーチェット病モデル動物の免疫異常とその制御

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抄録

  ベーチェット病は,医学文献としてはトルコのベーチェット博士の記述(1936年)を嚆矢とするが,疾患の特徴(アフタ・外陰部潰瘍・眼症状など)については既にヒポクラテス(紀元前5世紀)や張仲景(AD200年頃)の時代から記述があり,古くからヒトに関わりの深い疾患である(大野博士).未だに疾患発症に至る過程に不明の点も少なくないが,2010年には水木博士(横浜市大)・大野博士(北大)・猪子博士(東海大)のチームによるゲノムワイド相関解析により,HLA-B*51, A*26, IL-10, IL-23R/IL-12RB2,などの疾患感受性遺伝子が明らかにされ,また最近では何らかの自己炎症性症候群スペクトラムを有することも示唆され,大きく疾患理解が進んでいる.一方,マウスモデルについては,残念ながらベーチェット病の皮膚・眼症状,さらには特殊病型を再現するようなモデルは開発されていない.我々も,眼炎症を抗原(視細胞間レチノイド結合タンパク由来ペプチド)特異的に生じさせる実験的自己免疫性網膜ぶどう膜炎(EAU)をモデルに,眼炎症の病態理解とその実験的制御を試みているのみである.ただ,このように限界のあるモデルにおいても,ベーチェット病で見られると同様にTh17およびTh1が自己免疫病態に関わっていることが示されており,効用もまた存在している.本ワークショップでは,オステオポンチンやNKT細胞を標的とした,EAUの病態制御について紹介したい.<br>

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