P2-078  破骨細胞分化における転写調節因子PU.1とTGF-βシグナルの影響について

この論文をさがす

抄録

【背景・目的】 転写調節因子PU.1は関節リウマチの病態において重要な役割を果たす破骨細胞の分化誘導に関わる.一方,TGF-βも破骨細胞において分化促進因子である.これらの背景から,TGF-β制御下にPU.1が破骨細胞特異的遺伝子発現を制御しているかを検証すると共に,その分子機構を明らかにすることを目的とする.<br> 【方法】①BALB/cマウスの骨髄由来細胞を,M-CSF, RANKL, TGF-β存在下で破骨細胞を分化誘導する過程において,si RNAを用いてPU.1発現をノックダウンした.得られた細胞を,TRAP染色で酵素活性を評価し,定量的PCRにて破骨細胞マーカー遺伝子群のmRNA発現量を測定した.②TGF-βの有無が,PU.1のmRNA発現量に及ぼす影響を定量的PCRにより解析した.③破骨細胞特異的遺伝子のプロモーターに対し,PU.1がTGF-β制御下にどのように作用しているか,クロマチン免疫沈降法を用いて検討した.<br> 【結果】①PU.1 siRNA導入により,TRAP活性は低下し,破骨細胞のマーカー遺伝子であるAcp5やカテプシンKなどのmRNA発現が抑制された.②TGF-βは,PU.1並びに破骨細胞特異的遺伝子群の発現量を増加させた.③Acp5やカテプシンKのプロモーター領域にPU.1の結合を認め,さらにTGF-β刺激により結合量が増加した.<br> 【考察】破骨細胞形成において,TGF-βやPU.1は重要な因子となっている.引き続きTGF-β刺激に呼応したSmad分子群がPU.1の転写活性に関わっているかなど検討していく.<br>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ