川崎病における治療反応性とバイオマーカー

  • 阿部 淳
    国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー研究部
  • 松田 明生
    国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Biomarkers associated with unresponsiveness to IVIG in children with Kawasaki disease

この論文をさがす

抄録

  川崎病におけるIVIG療法の効果について,その詳細な機序は未だ不明な点が多い.初回IVIG療法に不応の患者も20~30%いるので,冠動脈瘤の発症を予防するためには早期に治療反応性を予測する必要がある.私共は,DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイリングの結果から,川崎病急性期には好中球数が増加するのみならず,polycythemia rubra vera 1など顆粒球の分化段階に特異的な遺伝子を発現して質的にも異なることを明らかにした.これに対応して血清中のG-CSF濃度も,IVIG不応群では反応良好群に比べて有意に高く,これらの因子が治療反応性の予測マーカーになると考えられた.さらに,IVIG療法で用いられる濃度のIgGがTNF-α刺激を受けたヒト冠動脈血管内皮細胞に直接作用して,G-CSFやIL-6などのサイトカイン産生発現を強く抑制することを明らかにした.このIgGの抗炎症作用は,これらのサイトカインの転写活性化因子であるC/EBP-δの産生抑制と並行してみられることから,血管内皮細胞における炎症反応増幅機構の抑制に関与している可能性が示唆された.<br>

収録刊行物

参考文献 (24)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ