製紙用フェルト材料からのナイロン6およびナイロン6,6の 分離再生技術の開発

  • 山本 秀樹
    関西大学環境都市工学部 エネルギー・環境工学科
  • 荒木 貞夫
    関西大学環境都市工学部 エネルギー・環境工学科
  • 長野 由季
    関西大学環境都市工学部 エネルギー・環境工学科
  • 水田 幸太朗
    関西大学環境都市工学部 エネルギー・環境工学科
  • 古池 哲也
    関西大学化学生命工学部  化学・物質工学科
  • 田村 裕
    関西大学化学生命工学部  化学・物質工学科

書誌事項

タイトル別名
  • Development of a Regeneration Process for Nylon-6 and Nylon-6,6 from Felt Wastes
  • セイシヨウ フェルト ザイリョウ カラ ノ ナイロン 6 オヨビ ナイロン 6,6 ノ ブンリ サイセイ ギジュツ ノ カイハツ

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抄録

製紙工業において使用されている製紙用フェルトは,ナイロン6とナイロン6,6で構成されており,年間約1100 t製造されるうち使用後は大部分が廃棄される.本研究では,製紙工場より廃棄された製紙用フェルトからナイロン6およびナイロン6,6を分離再生するために溶解再沈殿法を用いたプロセスを検討した.提案するプロセスは,溶媒にナイロン6およびナイロン6,6を溶解させる工程,貧溶媒を加えてナイロンを析出させ回収する工程,ナイロン回収後の廃液を蒸留により再生する工程から成る.溶媒には,前報で報告した塩化カルシウム二水和物とメタノールの混合溶液(CaCl2–MeOH溶液)を使用した.実験結果より,溶媒の塩化カルシウム二水和物濃度を220 g/dm3-MeOHとすることでナイロン6とナイロン6,6を高い純度で選択的に分離できることを見出した.X線回折分析により,ナイロン6とナイロン6,6の溶解性には α および γ 型結晶の存在率の違いが影響していることが示唆された.模擬廃液を用いた蒸留実験を行い,2回の単蒸留によりメタノール,水および塩化カルシウムが再利用可能であることが示唆された.さらに,提案するプロセスを用いて廃棄された製紙用フェルトからのナイロンの分離再生を試みた.92.8%の高い回収率でナイロンが得られ,ナイロン6はほぼ100%,ナイロン6,6は81.4%の純度で再生された.本プロセスにより,ゼロエミッションで廃棄製紙用フェルトからナイロン6およびナイロン6,6の分離再生が可能であると考えられる.

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参考文献 (6)*注記

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