劇症型心筋炎と好酸球性肺炎を合併したChurg-Strauss症候群の1救命例

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タイトル別名
  • A case of Churg-Strauss syndrome complicated with fulminant myocarditis and eosinophilic pneumonia

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抄録

症例は52歳, 男性. 1年前より気管支喘息にて近医通院中であった. 感冒様症状に続き, 両下肢の痺れと脱力を生じ, 次第に歩行困難となった. 加療目的にて入院したが, 入院翌日に呼吸困難感が増強し, 心電図にてV4~6誘導でST低下を認めた. 緊急心臓カテーテル検査を行ったが, 冠動脈は正常であり, 左室造影にて著明な全周性壁運動低下を認めたため, 急性心筋炎を疑った. その7時間後QRS幅の広い頻拍を伴う心原性ショックとなり, 大動脈バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping; IABP)および経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support; PCPS)を導入した. 末梢血好酸球比率が58%と上昇していたため, ステロイドパルス療法を施行した結果, 心機能は改善し補助循環から離脱可能となった. MRSA肺炎の合併のためステロイド維持療法に移行できなかったが, 気管支肺胞洗浄の結果, 洗浄液中の好酸球著増を認め, 抗生物質併用下にパルス療法を再度施行した結果, 難治性肺炎は軽快した. IABP, PCPS抜去後も両下肢の痺れと脱力は持続し, 末梢神経伝導速度の測定結果から多発性単神経炎であることが判明し, 本症例をChurg-Strauss症候群(Churg-Strauss syndrome; CSS)と診断し得た. 好酸球増多はステロイド内服のみでは抑制できず, シクロフォスファミドを併用することによりコントロール可能となった. 劇症型心筋炎と好酸球性肺炎および多発性単神経炎を合併したCSSの稀な1例を経験したので報告した.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 41 (6), 673-680, 2009

    公益財団法人 日本心臓財団

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