乳幼児ファロー四徴症におけるβ遮断薬服用と低血糖発作の頻度およびその危険因子の検討

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  • Hypoglycemia in Children with Tetralogy of Fallot Treated with Beta-Blocker.

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抄録

背景:β遮断薬は小児においても循環器疾患を中心に用いられるが,低血圧,徐脈,低血糖といった副作用が問題となることがある。特に低血糖は重大な後遺症を来す可能性があるが,小児における頻度や危険因子は明らかではない。<br>目的:乳幼児ファロー四徴症におけるβ遮断薬服用の有無と低血糖発症の関連性を明らかにし,その危険因子を明らかにすること。<br>方法:1983 年4 月~ 2011 年1 月に受診したファロー四徴症422 例を3 群に分類(肺動脈閉鎖群116 例,β遮断薬服用群214 例,β遮断薬未服用群92 例)し,β遮断薬服用と低血糖発症の有無について検討した。<br>結果: 低血糖の症例は16 例,全例がβ遮断薬服用群だった(16/214 例:7.5%)。発症時血糖値は平均26.4mg/dL,発症時年齢は平均2.3 歳,性差はなく,全例でcarteolol を服用していた。平均Kaup 指数は15.2,早産・低体重児や重度低酸素血症,心不全は認めなかった。低血糖の発症誘因は感冒や絶食指示による経口摂取不良を16 例中14 例(87.5%)に認めた。神経学的後遺症を3 例に認めた。<br>結論:無酸素発作予防にβ遮断薬を服 用したファロー四徴症は,306 例中214 例(69.9%)であり,このうち低血糖を16 例(7.5%)に認めた。β遮断薬服用者の多くの低血糖は感染などによる経口摂取不良が誘因となっていた。β遮断薬を使用する際には低血糖の出現に注意を 払う必要がある。

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