スポンサードシンポジウム4  若年性特発性関節炎:生物学的製剤の理論と実際

  • 横田 俊平
    横浜市立大学大学院医学研究科 発生成育小児医療学

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抄録

 若年性特発性関節炎は全身型と関節型(少関節型および多関節型)に分けられる.全身型は弛張熱,発熱時の発疹,関節炎を主徴とし,FDG-PETの検索から骨の赤色髄の炎症を起点として全身に波及していく炎症で,全身症状のひとつとして関節炎が表れる.関節型が成人のRAと同様に慢性滑膜関節炎で,両者は発症の起点の違いから別疾患とする考え方が非常している.全身型の炎症は弛張熱の動態がIL-6の変動と一致することからIL-6が病態形成の核になっており,本邦で開発されたtocilizumabの臨床試験を進めたところ短期間で全身炎症が終息した.すなわち,本症ではIL-6が炎症惹起のleading cytokineになっており,この主導的サイトカインを遮断することで炎症全体が鎮静化する.他方,関節型若年性特発性関節炎は,TNFα遮断薬,IL-1β遮断薬,またIL-6レセプター遮断薬のいずれでも,炎症を終息に向かわせることできる.このことより,関節型においてはTNFα-IL-1β-IL-6などの炎症性サイトカインがvicious cycleを形成して炎症を増幅している可能性が考えられる.したがって,どのサイトヵインを遮断しても,cycleが停止し炎症が終息するものと思われる.以上,炎症病態において,炎症性サイトカインはさまざまな関わり方で炎症の惹起,持続に役割を果たしている.<br>

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