抄録
全身性エリテマトーデス(SLE)の病態は,自己反応性T細胞やB細胞の活性化,自己抗体により形成される免疫複合体の組織沈着による多臓器障害が特徴である.我々は,活性化B細胞を標的とする抗CD20抗体リツキシマブ(RTX)を中枢・腎病変を有し既存治療抵抗性のSLE患者24例に投与し,投与後早期での8カラーFACSによるリンパ球サブセット解析及び投与5年後までの治療効果を検討した.SLEではB細胞が活性化しており,活動性の高い症例ではCXCR5陰性CXCR3陽性のメモリーB細胞の割合が増加した.RTXは末梢血よりメモリーB細胞を速やかに除去するとともに,ヘルパーT細胞における共刺激分子の発現やエフェクター細胞への分化異常を劇的に改善した.疾患活動性は投与前,5年後のSLE疾患活動性指数(SLEDAI)18.7→1.9,英国SLE評価指数(BAILAG)19.9→1.0と著明に改善した.経過中9名が再燃し,メモリーB細胞の増加(B細胞型),メモリーT細胞の増加(T細胞型)など異なる病態の再燃を認め,RTX再投与(4例),免疫抑制薬追加(4例:シクロホスファミドパルス,1例:タクロリムス)にて改善が得られた.以上,RTXは難治性SLEに対して,B細胞の除去によるT細胞の活性化の制御のみならず,リンパ球の分化異常を是正することで長期寛解を齎す可能性が考えられた.さらに,SLEはB細胞とT細胞のサブセット異常によって多様な病態を呈しており,リンパ球動態の評価が治療選択に有用と考えられる.<br>
収録刊行物
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- 日本臨床免疫学会会誌
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日本臨床免疫学会会誌 36 (5), 354-354, 2013
日本臨床免疫学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679628360064
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- NII論文ID
- 130003383045
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- ISSN
- 13497413
- 09114300
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可