この論文をさがす
抄録
多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis,PM/DM)は骨格筋に炎症を起こす自己免疫疾患である.炎症が骨格筋にのみ認める場合もあれば(多発性筋炎),ヘリオトロープ疹やGottron徴候などの皮膚炎を合併する症例(皮膚筋炎),間質性肺炎を合併する症例も見られる.いずれの場合も,抗ARS抗体やその他の筋炎特異的自己抗体を認めることがある.罹患筋組織にはT細胞を初めとする炎症性細胞の浸潤を認め,特にPMの場合には,CD8陽性T細胞による筋傷害が主要病態であると示唆されている.<br> 我々が開発した多発性筋炎の動物モデル,C蛋白誘導性筋炎(CIM)は,PMに特徴的とされる筋炎像を認め,その筋傷害はCD8陽性T細胞により惹起される.皮疹や間質性肺炎は認めず,抗核抗体が認められることはあっても,抗ARS抗体などの自己抗体は認めない.即ち,CIMはPM/DMの様々な病態のうち,自己免疫的機序による筋傷害をよく反映したモデルである.<br> このモデルにより,筋炎の病態形成には,自己反応性T細胞の活性化だけでなく,標的筋組織の自然免疫活性化も重要な要素であることが示された(Seed and Soil model).自己免疫疾患の病態解明や治療において,標的組織側の要因にも着目することを促す知見である.<br>
収録刊行物
-
- 日本臨床免疫学会会誌
-
日本臨床免疫学会会誌 36 (5), 361-361, 2013
日本臨床免疫学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282679628468224
-
- NII論文ID
- 130003383052
-
- ISSN
- 13497413
- 09114300
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可