W9-3  多発性筋炎/皮膚筋炎の動物モデル「Seed and Soil modelが示すヒント」

  • 木村 直樹
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 膠原病・リウマチ内科学
  • 上阪 等
    東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 膠原病・リウマチ内科学

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抄録

 多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis,PM/DM)は骨格筋に炎症を起こす自己免疫疾患である.炎症が骨格筋にのみ認める場合もあれば(多発性筋炎),ヘリオトロープ疹やGottron徴候などの皮膚炎を合併する症例(皮膚筋炎),間質性肺炎を合併する症例も見られる.いずれの場合も,抗ARS抗体やその他の筋炎特異的自己抗体を認めることがある.罹患筋組織にはT細胞を初めとする炎症性細胞の浸潤を認め,特にPMの場合には,CD8陽性T細胞による筋傷害が主要病態であると示唆されている.<br>  我々が開発した多発性筋炎の動物モデル,C蛋白誘導性筋炎(CIM)は,PMに特徴的とされる筋炎像を認め,その筋傷害はCD8陽性T細胞により惹起される.皮疹や間質性肺炎は認めず,抗核抗体が認められることはあっても,抗ARS抗体などの自己抗体は認めない.即ち,CIMはPM/DMの様々な病態のうち,自己免疫的機序による筋傷害をよく反映したモデルである.<br>  このモデルにより,筋炎の病態形成には,自己反応性T細胞の活性化だけでなく,標的筋組織の自然免疫活性化も重要な要素であることが示された(Seed and Soil model).自己免疫疾患の病態解明や治療において,標的組織側の要因にも着目することを促す知見である.<br>

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