P4-07  BTK変異をみとめたIgA単独欠損の解析

  • 満生 紀子
    東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学
  • 今井 耕輔
    東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学
  • Xi YANG
    富山大学医学部附属病院 小児科
  • 金兼 弘和
    富山大学医学部附属病院 小児科
  • 小阪 嘉之
    兵庫県立こども病院 血液腫瘍内科
  • 高田 英俊
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学
  • 水谷 修紀
    東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学
  • 小原 収
    理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター 免疫ゲノミクス研究グループ
  • 森尾 友宏
    東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学

この論文をさがす

抄録

【背景】BTKはB細胞分化に必須のチロシンキナーゼで,その遺伝子変異によりX連鎖性無ガンマグロブリン血症(XLA)を引き起こす.XLAは末梢血B細胞が著減し全クラスの血清グロブリン低値が特徴である.今回IgA単独欠損症例でBTK変異を見出し,その影響について解析を行った.【症例】3歳男児.乳児期より反復性の肛門周囲膿瘍,急性中耳炎や気管支炎等の細菌性感染と発疹をみとめていた.白血球数12800/mm3(リンパ球50%),IgG 1335 mg/dl,IgA<4mg/dl,IgM 20 mg/dl,麻疹・風疹特異抗体産生とTRECs/KRECs正常.CD19+細胞4.7%(of lym),B細胞分画は正常でT・NK・樹状細胞分画も異常はなかった.【解析】Exome解析及び家族解析にてBTKにde novo変異(Thr316Ala)をみとめた.BTKの発現は低下していた.BCR刺激後のCa influxは正常範囲だが,PLCγ2のリン酸化は低下,CD40刺激後のNFκBのリン酸化は正常だった.In-vitroの抗体産生はIgA優位に低下していた.好中球では他のXLA症例と同様ROSの過剰産生をみとめた.【考察】本症例はB細胞が存在しIgA単独欠損例であったが,解析の結果,BTK変異が原因であることが示唆され非典型XLAと診断した.IgA欠損や分類不能型免疫不全症と考えられている症例の中にはBTK異常をみとめるものがあり,BTKがIgA産生にも重要な役割をもつ可能性が示唆された.<br>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ