唾液中のバイオマーカーを用いた早期診断の可能性(総説)

  • 恩田 健志
    東京歯科大学口腔外科学講座
  • 林 宰央
    東京歯科大学口腔外科学講座
  • 野村 武史
    東京歯科大学口腔外科学講座 東京歯科大学口腔がんセンター
  • 髙野 伸夫
    東京歯科大学口腔外科学講座 東京歯科大学口腔がんセンター
  • 柴原 孝彦
    東京歯科大学口腔外科学講座 東京歯科大学口腔がんセンター
  • 片倉 朗
    東京歯科大学口腔がんセンター 東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Possibility of early diagnosis by using salivary biomarkers (Review Article)
  • Possibility of early diagnosis by using salivary biomarkers

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抄録

わが国は,先進国の中で口腔がんが増加しているまれな国であり,早期に口腔がんを発見できる検査法の開発や検診システムの確立が望まれている。当講座では地域の歯科医師会と協力し口腔がんの集団検診を行い,その早期発見に努めてきた。しかしながら,集団検診は実施地域や時期,検診できる人数に制限があり検査対象となるのは極めて少ない集団である。これを解決するためには,歯科診療所における個別検診を普及させる必要があるが,現在,視診,触診に加えて一般歯科診療所でも簡便に行うことができる信頼性の高いスクリーニング方法はない。<br>近年の研究成果により,唾液が健康の維持増進のための様々な機能を有すること,血液や尿に劣らぬ多くの生体情報を有していることが続々と報告されてきている。唾液は場所を選ばず,非侵襲性に,無痛的に反復して容易に採取可能であり,血液と異なり赤血球や白血球,血小板などの細胞成分がほとんどなく,凝固することもない。そのため定量を目指す標的発現異常タンパク質に特化してキット化することが可能となり,歯科診療所のチェアサイドで判定することも可能と考えられる。著者らはこのような簡便かつ非侵襲的に反復して採取可能な唾液に注目し,プロテオミクス解析技術を駆使して,全唾液を試料とした簡便に行える口腔がんのスクリーニング法の開発ならびに早期診断分子マーカーの同定を試みてきたので,その概要を解説する。

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