心臓再同期療法により左室機能が正常化した重症特発性拡張型心筋症の1 歳男児例

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  • A Case of One-Year-Old Boy with Severe Idiopathic Dilated Cardiomyopathy, Followed by Normalization of Left Ventricular Function after Cardiac Resynchronization Therapy

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抄録

成人の薬物療法抵抗性心不全症例に対して,心臓再同期療法(CRT)の使用頻度は増加している.一方,小児に対する使用例は少なく,その有用性に関してはほとんど知られていない.本症例は生後3ヵ月まで良好であった体重増加が5ヵ月で不良となり,心エコーにて高度の左室機能低下と内腔拡大を認め,特発性拡張型心筋症(IDCM)と診断された.利尿薬・ACE阻害薬およびβ 遮断薬を含む薬物療法を開始したが,脳性ナトリウム利尿ペプチドBNPは3,550pg/mLから1,050pg/mLに中等度低下したものの,体重増加は改善しなかった.心不全症状は薬物療法に抵抗性で,左室壁運動のdyssynchronyが顕著であることから,1歳4ヵ月時に心外からの両心室DDDペーシングによるCRTを導入した.CRT開始後心不全症状は著明に改善し,10ヵ月後には体重増加およびBNPはともに正常となった.心エコーでは左室機能と内腔径は正常化し,dyssynchronyも改善を認めた.今回われわれは,薬物療法抵抗性心不全を呈したIDCMの1歳男児例で,CRTの劇的な効果を経験し報告する.IDCMを含む重症心不全小児に対して,左室dyssynchronyの早期発見とCRTの導入は,期待できる治療戦略となりうることが示唆された.

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