バイオイメージングにおける2種類の可塑化ポリ塩化ビニルCa<sup>2+</sup>感応膜の特性及び安全性の評価

  • 服部 敏明
    豊橋技術科学大学電気・電子情報工学系 豊橋技術科学大学物質工学系
  • 櫻井 孝司
    豊橋技術科学大学エレクトロニクス先端融合研究所
  • 加藤 絢巳
    豊橋技術科学大学物質工学系
  • 加藤 亮
    豊橋技術科学大学研究基盤センター
  • 平田 幸夫
    豊橋技術科学大学物質工学系 豊橋技術科学大学環境・生命工学系
  • 澤田 和明
    豊橋技術科学大学電気・電子情報工学系

書誌事項

タイトル別名
  • Safety Estimation of Two Calcium Ion-sensitive Plasticized Poly(vinyl chloride) Membranes for Bioimaging Apparatus
  • バイオイメージングにおける2種類の可塑化ポリ塩化ビニルCa²⁺感応膜の特性及び安全性の評価
  • バイオイメージング ニ オケル 2シュルイ ノ カソカ ポリ エンカ ビニル Ca ² ⁺ カンノウマク ノ トクセイ オヨビ アンゼンセイ ノ ヒョウカ

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抄録

アレイ型半導体イオンイメージセンサーにより細胞の化学イメージングを行うために使われる可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)膜の細胞に与える影響を調べた.評価に用いた2種類のカルシウムイオン感応膜は,イオン交換体としてビス(4-n-オクチルフェニル)リン酸カルシウムと可塑剤としてジ-n-オクチルフェニルリン酸を含む可塑化PVC膜(CaHDOPP-DOPP膜)と,イオノフォアとして4,16-ジ-n-オクタデシルカルバモイル-3-オキサブチリル-1,7,10,13,19-ペンタオキサ-4,16-ジアザシクロケニコサンと可塑剤として2-ニトロフェニルオクチルエーテルを含む可塑化PVC膜(K23E1-NPOE膜)である.これら膜に対して,電位応答特性を評価し,また,膜からの可塑剤の漏れの評価し,さらに膜に長時間接した溶液を含む培養溶液でのHeLa細胞の培養への影響を評価した.電位応答特性の結果から,K23E1-NPOE膜は1×10-2 Mから5×10-7 Mまで直線的な電位勾配を持ちCaHDOPP-DOPP膜は1×10-2 Mから1×10-5 Mまで直線的な電位勾配を持つことが分かった.ガスクロマトグラフを用いて膜からの可塑剤の漏出を測定したとき,CaHDOPP-DOPP膜は可塑剤の漏出が認められたが,K23E1-NPOE膜は可塑剤の漏出が認められなかった.さらに,HeLa細胞を培養したとき,CaHDOPP-DOPP膜及びK23E1-NPOE膜と接した溶液による培養では,いずれも細胞を殺傷する毒性はなかった.しかし,培養初期に細胞増殖を抑制することが観察された.その抑制効果は,CaHDOPP-DOPP膜と接した溶液の方がK23E1-NPOE膜と接した溶液よりも大きいことが分かった.また,いずれも,2回目に接した溶液を使った培養では,初期の細胞増殖抑制が少なくなることが分かった.結論として,細胞のCa2+をイメージングする可塑化PVC膜として,K23E1-NPOE膜はCaHDOPP-DOPP膜より優れていること,また,膜を使用する前に長時間水に接した後で,可塑化PVC膜を使うことが有効であることが分かった.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 63 (2), 119-125, 2014

    公益社団法人 日本分析化学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (1)*注記

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