Cushing症候群合併妊娠の1症例

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タイトル別名
  • A case of Cushing’s syndrome during pregnancy
  • 症例報告 Cushing症候群合併妊娠の1症例
  • ショウレイ ホウコク Cushing ショウコウグン ガッペイ ニンシン ノ 1 ショウレイ

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抄録

Cushing症候群は,その内分泌環境から無月経や不妊症の原因となることが多く,Cushing症候群合併妊娠はきわめてまれである.また子宮内胎児死亡や母体死亡,あるいは早産のリスクが高く,その周産期予後は不良である.今回,われわれはコントロール不良な高血圧合併妊娠において精査の結果,副腎腺腫によるCushing症候群の診断に至った症例を経験した.症例は41歳,1経妊1経産,自然妊娠にて妊娠成立し,無月経を主訴に当院初診となった.高血圧,精神疾患を合併しており他院で内服加療中であった.初診時,妊娠7週で高血圧を認めた.その後も血圧のコントロールが不良であったために,高血圧合併妊娠の精査加療目的にて妊娠15週5日より当院内分泌科に入院となった.入院後はメチルドパ,ヒドララジンの内服で血圧のコントロールを行った.内分泌学的検査を行ったところACTH基礎値は感度以下に抑制されており,腹部超音波検査で副腎腫瘤を認めたことから副腎腺腫によるCushing症候群が疑われた.副腎腺腫に対し,妊娠22週1日で腹腔鏡下左副腎摘出術を施行した.手術後,血圧はいったん改善傾向を示したが,術後5日目より血圧の再上昇傾向を示したため,ニカルジピンの持続投与を開始した.術後8日目には尿蛋白を認め,その後も尿蛋白は増加していき,加重型妊娠高血圧腎症の増悪を認めた.さらに母体の多臓器障害の進行を認めたために妊娠24週2日に母体搬送とした.しかし搬送中に胎内死亡となり,翌日に死産した.分娩後は血圧や尿蛋白は急速に改善を認め,全身状態も改善した.高血圧合併妊娠においては,妊娠初期に二次性高血圧症の精査および診断を行い,治療について十分に検討することが肝要だと考えられた.〔産婦の進歩66(1):11-17,2014(平成26年2月)〕

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