有茎性漿膜下筋腫の中に存在した平滑筋肉腫の1例

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タイトル別名
  • Leiomyosarcoma localized in a pedunculated subserosal leiomyoma : a case report
  • 症例報告 有茎性漿膜下筋腫の中に存在した平滑筋肉腫の1例
  • ショウレイ ホウコク ユウケイセイショウマク カ キンシュ ノ ナカ ニ ソンザイ シタ ヘイカツキン ニクシュ ノ 1レイ

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抄録

子宮平滑筋肉腫が既存の平滑筋腫内に発生することはきわめて少ないと考えられており,平滑筋腫の悪性化の報告はまれである.今回,われわれは有茎性漿膜下筋腫の一部に平滑筋肉腫を呈する部分があり,急速に再発して病状が悪化した症例を経験したので報告する.症例は47歳,1経妊1経産.右下腹部痛を自覚し,前医を受診.下腹部腫瘤を指摘され,精査加療目的に当科紹介受診.超音波検査にて腹腔内に広がる20cm大の腫瘤性病変を認めた.MRI検査にて子宮底部に22×19×19cm大の腫瘤を認め,腫瘤内部にはT1/T2強調像ともに高信号域の円形~不整形の嚢胞性構造が散見され,腫瘤全体が淡く造影され,嚢胞壁は拡散強調像で高信号域を呈していた.肉腫を否定できないものの,変性筋腫と診断した.開腹すると子宮前壁右側に有茎性漿膜下筋腫と思われる腫瘤性病変を認め,茎部で180度捻転していた.腹腔内に播種病巣はなく,血性腹水を少量認めるも,細胞診は陰性であった.有茎性腫瘍を摘出後,単純子宮全摘術および両側付属器摘出術を施行した.術後病理組織診断はleiomyosarcoma in leiomyoma,pT1bで切断端は陰性であった.最大嚢胞壁の全周性にのみ平滑筋肉腫の像を認め,その他の部位は平滑筋腫の所見であったため追加治療を施行せず,外来にて経過観察を行った.術後4カ月,腹部腫瘤感と咳嗽を訴えて来院となった.CT検査にて最大8cmの骨盤内再発病変と多発肺転移を認めた.患者との相談のうえ追加治療を施行せず,best supportive careを行い,術後5カ月で永眠となった.有茎性漿膜下筋腫の一部にのみ存在した平滑筋肉腫であったが,術後早期に再発し,救命し得なかった.本症例では画像所見より術前に限局した肉腫病変の評価が困難で,および病理組織学的に平滑筋腫と肉腫の併存あるいは筋腫の悪性化を考慮する症例であった.また比較的早期に手術を施行した本症例でも,予後不良のため追加治療に関しての検討が必要である.〔産婦の進歩66(1):30‐35,2014(平成26年2月)〕

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