阿武隈川水系における放射性セシウムの数値シミュレーション

  • 石川 百合子
    独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部門
  • 川口 智哉
    株式会社日水コン環境事業部環境・資源部
  • 保高 徹生
    独立行政法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門
  • 東野 晴行
    独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Estimation of Concentration of Radioactive Cesium in Abukuma River Basin Using Numerical Simulation
  • アブクマガワ スイケイ ニ オケル ホウシャセイ セシウム ノ スウチ シミュレーション

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抄録

本研究では2011年3月の福島第一原発事故により放出された放射性セシウムによる河川流域における河川水濃度と流域土壌に蓄積した量(本論文では,蓄積量と表記する)の残存状況の推定を目的とした数値シミュレーションモデルを構築した。産総研-水系暴露解析モデル(AIST-SHANEL)をプラットフォームとし,流域における懸濁物質の流出ポテンシャルと放射性セシウムの動態を考慮したモデルを導入し,阿武隈川水系を対象にケーススタディーを実施した。その結果,本モデルの妥当性を検証し,降水による出水に伴う放射性セシウムの総流出量は僅かであることが示された。特に,セシウム137は自然崩壊が少ないことも相まって流域における蓄積量を減少させるのは困難なことが考えられ,除染をはじめ総合的な対策を検討することの必要性が示唆された。本モデルは放射性セシウムの河川流域での挙動解析や汚染対策の評価を可能にするものと考えられる。

収録刊行物

  • 水環境学会誌

    水環境学会誌 37 (2), 29-43, 2014

    公益社団法人 日本水環境学会

参考文献 (2)*注記

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