高容量の赤血球造血刺激因子製剤が必要な血液透析患者に対するL-カルニチン補充療法の効果(赤血球寿命への効果も含めて)

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タイトル別名
  • Effect of substitution therapy using levocarnitine chloride on anemia in hemodialysis patients requiring high-capacity erythropoiesis-stimulating agents
  • コウヨウリョウ ノ セッケッキュウ ゾウケツ シゲキ インシ セイザイ ガ ヒツヨウ ナ ケツエキ トウセキ カンジャ ニ タイスル L-カルニチン ホジュウ リョウホウ ノ コウカ(セッケッキュウ ジュミョウ エ ノ コウカ モ フクメテ)

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抄録

 高容量 (遺伝子組換型エリスロポエチン換算で9,000IU/週以上) のerythropoiesis-stimulating agent (ESA) が必要な血液透析患者13例にレボカルニチン塩化物補充療法 (エルカルチン® 600mg/日, 12週間) を行い, 貧血やESA必要量に対する効果を観察した. レボカルニチン投与前の血清総カルニチン (TC) および遊離カルニチン (FC) 濃度は全例, 異常低値であった. レボカルニチン投与4週後にはTCおよびFC値は正常域まで上昇し, 12週後まで上昇していった. 中止後は徐々に低下したが, 中止4週後でも正常値に留まった. レボカルニチン投与により13例中7例でヘモグロビン値が1.0g/dL以上上昇, 4例でESAを25%以上減量可能で, 計9例 (両基準を満たす症例が2例) で有効であった. レボカルニチン投与前のTC, FC, アシルカルニチン (AC) 値およびFC/AC比は有効例と無効例で有意差はなかった. 投与4, 12週後のTC, FC値は有効例が無効例に比して有意に高値であった. AC値, FC/AC比は有効例, 無効例で有意差はなかった. FC/AC比は有効例では投与4, 8週後に前値に比して有意に上昇していたが, 無効例では有意な変化はなかった. 赤血球寿命は, 有効例3例で投与前は短縮していたが, 投与後は改善した. 無効例のうち2例は, 投与前は赤血球寿命が短縮していたが, 投与後も改善はなかった. 貧血性の合併疾患がない高容量のESAが必要な血液透析患者に対してレボカルニチン補充療法は高率に有効であり, その作用機序は赤血球寿命の短縮の改善が主であると考えられる. しかし, 補充療法の開始前にその効果を予測する指標はなく, 今後の検討が必要である.

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